【裁判所速記官ってご存じですか?】

裁判は、裁判官がいて、弁護士がいて、検察官がいて・・・このあたりは皆さん想像がつくかと思います。裁判を進めるには他にも沢山の人が関わっているのですが、その中に裁判所速記官という立場の方がいます。裁判所速記官は、法廷でのやりとりを記録に残す裁判所の専門職であり、裁判所速記官が残す記録のことを裁判所速記録と呼んでいます。裁判所速記官は、専用のタイプライターを用いて速記符号を打ち込み記録し、これをもとに日本語に文書を起こすのですが、現在は、速記符号を自動反訳するソフト「はやとくん」が裁判所速記官の手により開発されており、専用のタイプライターと連動させることでリアルタイムに日本語の文章を表示することが可能になりました。(ちなみに浦和はやと法律事務所のはやとはこの「はやとくん」からとったという説が有力だとか・・・)

裁判所速記官が作成する速記録は、証人の証言をそのまま文字にするこことができますので、法廷で発せられた証言をそのまま記録することとになり、裁判官といえどもその内容の変更を命じることができないとされています。この点において、裁判所速記録は、正確で、迅速で、客観的であり、公正な裁判を実現するために重要な意義を持つのです(もし、証言記録が適当になされたり、適当に変更することが可能になれば、公正な裁判など期待できないです)。

ところが、いま、裁判所速記官の数は年々減っています。なぜか?それは、最高裁判所が裁判所速記官の養成を停止してしまっているからです。現在の裁判の記録は、録音反訳が中心となり、録音した音声を業者が文字に起こしています。これには問題があり、録音したデータを紛失してしまうリスクがあることや、民間業者が文字を起こすことでそれが漏洩する恐れがあることなどが指摘されております。

私は、埼玉弁護士会の速記録問題対策特別委員会に所属しており、昨年は委員長も務めましたが、一日も早く速記官の養成を再開し、裁判所の記録を速記録とするよう活動してきました。

今日(2月18日)は、埼玉弁護士会の速記録問題対策特別委員会の委員として、最高裁判所に行き裁判所速記官の養成を早急に再開するよう求めてきました。

裁判所速記官の養成再開が一日はやくなされますように。司法の充実のために、微力ながら引き続き努力していきたいと思います。

私の活動に興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、「裁判所速記官制度を守り、司法の充実・強化を求める会」というのがありますのでインターネットで検索していただければ幸いです。

弁護士 大塚信之介