5月26日、民法の一部を改正する法律(債権法改正法)およびその施行に伴う整備法が成立しました。本改正は、約120年ぶりの抜本改正となります。施行は公布の日から起算して3年を超えない範囲において政令で定める日からとされております。公布が6月2日にされましたので、2020年6月2日までに施行することになります。

今回の債権法改正は民法制定以来の社会や経済情勢の変化に対応することと確立された判例法理を明文化することで分かりやすい民法を目指すものであると言われています。民法制定は1896(明治29)年ですので、そんな昔に制定された法律が現在まで大きな改正もなく使われていたことに驚かれる方も多いのではないでしょうか?ちなみに話題が横道にそれますが、アメリカ合衆国でユタ州が45番目の州になったのがこの年ですので、アメリカ合衆国も今の形になっていなかった時代です(あまりピンとこないかもしれませんね)。日本での出来事ですと、民法が制定された前年の明治28年は日清講和条約(下関条約)が調印されました。そんな時代に民法は制定されたのです。

改正項目は200を超えるもので、我々弁護士もこの改正に対応すべく「抜本的」に勉強しなおさなければなりません。施行日がいつになるのかは不明ですが、おそらくオリンピックの年に合わせるのではないかと思われます。浦和はやと法律事務所では、事務所内勉強会を開催するなどして、じっくり、しっかり改正法を検討していきたいと思います。

今回の法改正で注目を集めている項目を紹介したいと思います。
★消滅時効★
業種ごとに異なる時効を統一しました。債権一般の消滅時効は権利を行使し得ることを知った時から5年あるいは権利を行使し得るときから10年のいずれか早い方とされています。
★法定利率★
これまで年5%とされていましたが、改正法施行時の法定利率を3%とし、緩やかな変動制にすることになりました。
★保証★
事業用の融資について、第三者の個人を保証人とする場合は公証人による意思確認が必要となりました。
★約款★
民法が新たに規定する約款の内容を定形約款として定義づけ、消費者に一方的に不利な条項は無効となる規定が設けられました。
★意思能力★
判断能力を有しない人がした法律行為は無効であることが明記されました。
★敷金★
家主は賃貸借が終了したときに返金しなければならず、借主には経年劣化の修繕費を負担する義務がないとされました。